こんにちは、スタジオ・ウミの森山です。先週の土曜日、3月5日(土)に、滋賀県危機管理センター(滋賀県庁)で開催された「災害時外国人サポーター養成講座『災害時、外国人を守る3つのアイデア』」と同時開催された「災害時外国人支援ハッカソン」にウミメンバーが参加して参りましたのでこちらで簡単にご報告させていただきます。
概要
- 対象: テーマに関心をもつ県民、または県外の人々 およそ50名を想定
- 主催: 滋賀県、(公財)滋賀県国際協会、大津市
- 共催: コワーキングSHIGA、Code for Shiga / Biwako(いずれも任意団体)
- 日時: 平成28年3月5日(土曜) 一般向けプログラム: 13時00分~17時00分(12時30分開場) / エンジニア向けプログラム: 10時00分~20時00分(9時30分開場)
- 場所: 滋賀県危機管理センター 1階プレスセンター (大津市京町4-1-1 滋賀県庁内)
詳しくはこちらの公式ページもご覧ください。
内容と所感
ご縁があり滋賀県内のエンジニア向けイベントには何度か参加させていただいているウミメンバーですが、今回はウミからはエンジニアの大野, 山中, セシリア とデザイン担当の私の4人が参加しました。
今回参加させていただいたハッカソンは滋賀県と(公財)滋賀県国際協会と大津市の3団体により共同開催された「災害時外国人サポーター養成講座『災害時、外国人を守る3つのアイデア』」という一般向けイベントと同時に開催されました。滋賀県を中心に有志のエンジニアたちが集まり、その場で災害支援に役立つサービスを開発するという試みです。滋賀県庁内に併設されている「滋賀県危機管理センター」というところで開催されたのですが、この建物、実は2ヵ月ほど前に完成したばかりの建物だそうで、とってもキレイな建物内で気持ち良く集中して取り組むことができました。
ちなみに、みなさんは滋賀県に何人くらいの外国人の方がいらっしゃるかご存知でしょうか?現在滋賀県にお住まいの外国人の数は約24,000人だそうです。また外国人観光局の数は年間約280,000人にのぼります(平成26年 滋賀県観光交流局調べ)。今回の一般向けイベントはそんな外国人の災害時支援啓発を目的に開催されました。実はこれまでにも滋賀県と(公財)滋賀県国際協会が様々な形で実施されていたそうですが、今年は外国人を守るための手段のひとつとして「IT」に注目し、「災害前・災害時・災害後と3つの時期においてITが外国人にできること」というテーマを掲げての開催となりました。
今回の一般向けイベントではその趣旨から、県内外のIT技術者や企業・団体がこのテーマに対してどんなサポートができるかを実演・披露されていました。かなりディープで技術的に専門性の高い話題も多かったのでハッカソンに参加しながら横目に一般の方々の反応を見ているのも面白かったです。
ハッカソンのお題
今回のハッカソンのお題として事前にお聞きしていたのが下記の内容でした。
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大津市で発生した災害から 1 週間後、 現在あなたがいる「大津市災害多言語支援センター」には様々な情報が入ってきますが、これらはすべて紙で提供され、情報の切り分けや多言語化なども行われていません。現場のボランティアさんは、この状況下でとにかく多言語チラシの作成などを行っていますが、とにかく人海戦術あるのみで外国人被災者への情報提供を行っています。 都度センターに入ってくる情報の発信について、どういった仕組みがあれば現地のボランティアさんをサポートすることができるのか、その場で考えながら実際に構築してみましょう。
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「TSU・NA・GU」
私たちウミチームは、上記のお題に対して、「TSU・NA・GU」というWebサービスを作成・提案しました。「TSU・NA・GU」は、災害時における「多言語情報」の翻訳支援および共有・管理のWebサイトです。さまざまな情報が紙ベースで錯綜する被災地では、情報の切り分けが難しく、また、外国人被災者への情報提供は現場のボランティアさんによる人海戦術のみのため必要な情報の多言語化作業が追いつかない・・・という問題を解決するために誕生しました。世界中の翻訳ボランティアが参加・協力できる仕組みをインターネット上につくることで、外国人被災者の方々が現地で必要としている情報の効率的な多言語化を迅速かつ正確に行うことができます。また、投稿された各種情報はカテゴリ別に整理・共有することで、被災者の方々が必要な情報を必要な時にすばやく見つけられるようになります。
情報の分類や管理、多言語化などウミが得意としているオープンソースCMS「Drupal」の特長を活かすことで自然と生まれたこのアイデア。もちろん荒削りな部分も多く、実際に運用するには様々な課題があるのですが、災害時における外国人サポートのための情報伝達の在り方のヒントとなる提案ができたのではないかと思っています。
最後に
今回のハッカソンではいろいろなエンジニアさんの提案も拝見することができ、おもしろかったです。同じお題を与えられていても、エンジニアさんそれぞれの得意分野が異なると、思いつくアイデアも全然異なってきて、アウトプットもやはり違ってくるのですね。
また、ハッカソンの作業をしている同じ室内で一般向けの講演も行われておりましたので、お話の内容を少し聞きながら作業をすることができました。その中で、東北大震災を実際に経験された横田能洋さんによる基調講演のお話が聞こえてきたのですが「震災直後はホームページを見るのは無理。日々の生活の作業で手一杯でインターネットを開いて何かしようという気には正直ならなかった。」というようなことをおっしゃっておられました。まさにその時、災害後に活用してもらうためのホームページを作っていたので、ドキッとしながらお話を聞いていました。
「Webサービスを作っても、マニュアルを渡すだけでは活用できない。逆に現地の手間が増えるだけ。」ということもおっしゃられていたのもとても印象的でした。もしこういった仕組みを実際に作るのであれば、作る側・提供する側だけの自己満足で終わらせないように、実際に役に立つものになっているかどうか、被災を経験した方々の意見を取り入れたり、運用のために必要なことを綿密に、丁寧に計画・実行していくことが必要不可欠ですね。
こういったことは意識しておかないと開発作業だけに追われてしまって、ついついないがしろにされがちな部分だと思いますので、どんなプロジェクトでも意識していきたいところですね。このハッカソンに参加することで改めて気付かせていただいたような気がします。ありがとうございました。
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