こんにちは。久しぶりのブログ投稿となります、スタジオウミの久保田です。
先日Drupalの認定試験であるアクイア認定プログラムのDrupal 8認定トラック全試験に合格し、グランドマスターとなることができました!
弊社では3人目のグランドマスターとなります!
2020年6月3日にDrupal 9のリリースが予定されていますね。
Drupal 8からDrupal 9への変更点の1つとして、Twigが1系から2系にアップデートされます。
今回はTwig2系へのアップデートに伴い、対応が必要となる変更点をご紹介します。
なお本記事の内容はDrupal.orgのPreparing for use of Twig2 in Drupal 9を意訳したものになります。
Twigとは
TwigとはSymfonyフレームワークの一部であるPHPのテンプレートエンジンです。
Drupal 8からデフォルトのテンプレートエンジンとして採用されました。
Drupal 7までのPHP Templateと比較して、記述がシンプルであることに加え、
出力値がデフォルトでサニタイズされることや、テンプレートファイルからデータベースへのアクセスが制限されているなど
セキュリティ面でもメリットがあります。
Twigについてのより詳細な情報はこちらをご参照ください。
Twig1からTwig2への主な変更点
それではTwig1からTwig2の主な変更点をご紹介します。
テンプレートファイル内の記述に関する変更
テンプレートファイル(*.html.twig
)内の記述において、対応が必要となる変更は以下の通りです。
macroの明示的なインポート
Twig1では親テンプレートファイル内でインポートされたmacroは子テンプレートでも使用することができました。
Twig2からは子テンプレートファイルでも明示的にインポートする必要があります。
未定義ブロックの表示エラー
未定義のブロックを表示しようとするとTwig2からは例外を投げるようになります。
そのためブロックを表示する前にif文でブロックが定義されているかどうか確認する必要があります。
※ここでいうblockとはTwigの機能であるblockのことであり、Drupalのブロックとは別物です
{% if block('ブロック名') is defined %}
{{ block('ブロック名')}}
{% endif %}
rawタグの廃止
HTML文字列をエスケープせずに出力する{% raw %}
タグは、すでにTwig1系で非推奨となっていました。
Twig2系からはエラーとなるので、{% verbatim %}
タグで置き換える必要があります。
※raw
フィルター(ex. {{ foo|raw }}
)は引き続き使用可能です。
sameasとdivisiblebyの非推奨化
関数sameas
とdivisibleby
は非推奨になり、代わりにsame as
とdivisible by
を使用する必要があります。
ちなみにsameas
は変数が指定された値と同値かどうかを検証する関数、divisible by
は変数が指定された値で割り切れるかどうかを検証する関数です
グローバル変数 _self の出力内容変更
Twig1系以降、グローバル変数の_self
を通して、\Twig\Template
インスタンスにアクセスすることは非推奨となりました。
Twig2では{{ _self }}
が現在のテンプレート名を出力するようになるため、{{ _self.templateName }}
としていた箇所を{{ _self }}
に置き換える必要があります。
モジュール開発者に影響する変更
カスタムフィルターなどのTwigの拡張機能をモジュール等で提供している場合は、以下も対応が必要になります。
拡張機能削除メソッドの廃止
Twig1系以降、拡張機能を削除する機能は非推奨となっていますが、Twig2で\Twig\Environment::removeExtension()
メソッドが削除されます。
関数追加に関連するクラス、インタフェースの削除
Twig1系以降、関数を追加するために\Twig\TwigFunction
クラスを使用することとなっています。
関数を追加するために従来使用することができた以下のクラスおよびインタフェースはTwig2で削除されます。
- Twig_FunctionInterface
- Twig_FunctionCallableInterface
- Twig_Function
- Twig_Function_Function
- Twig_Function_Method
- Twig_Function_Node
フィルター追加に関連するクラス、インタフェースの削除
Twig1系以降、フィルターを追加するために\Twig\TwigFilter
クラスを使用することとなっています。
フィルターを追加するために従来使用することができた以下のクラスおよびインタフェースはTwig2で削除されます。
- Twig_FilterInterface
- Twig_FilterCallableInterface
- Twig_Filter
- Twig_Filter_Function
- Twig_Filter_Method
- Twig_Filter_Node
まとめ
Twig1からTwig2への変更点についてご紹介しました。
大半が非推奨であった機能の削除ですので、それほど大きな影響を与える変更はない印象です。 今後も非推奨の記述は使用を控え、いずれ来るアップデートに備えておきましょう。
最後に、今回ご紹介した内容はUpgrade Statusモジュールを使用してチェックすることができるようなので、こちらも合わせてお試しください。
募集しています
スタジオ・ウミは「Drupal」に特化したサービスを提供する Drupal のエキスパートチーム。
フルリモート&フレックス制だから、働く場所を選ばず時間の使い方も自由です。
そんなワークライフバランスの整った環境で、当ブログに書かれているような
様々な技術を共に学びながら、Drupalサイト開発に携わってみたい方を募集しています。
まずはお話だけでも大歓迎!ぜひお気軽にご連絡ください。