本日は「用語集」という形で、「 CMS 構築を行っているホームページ会社とやりとりする上でぜひ知っておきたい用語」をいくつかご紹介したいと思います。
はじめに
今回読者の方として想定しているのは「ホームページ制作会社に依頼をする側のホームページ担当者 / 経営者」の方です。
専門的な用語を知らなくてもホームページ制作のお仕事はもちろん発注できますが、ホームページを積極的に活用したいなら、ウェブの一般的な用語については発注者側の方にもぜひ押さえておいていただきたいところです。 最近は特にホームページ制作を行う上で CMS をまったく利用しないケースの方がまれになるくらい CMS の利用が一般的になってきていますので、ホームページだけでなく CMS の用語 / コンセプトも押さえておいていただくと制作会社とのコミュニケーションがよりスムーズになるかと思います。
用語は CMS ソフトによっても少しずつ異なるため、用語そのものを覚えるというよりもそれで表される考え方――コンセプトの方を重視して読んでみていただければと思います。
ではまずは最も基本的なところで「コンテンツ」という用語から・・・
コンテンツ
コンテンツとは、ホームページのテキストや画像、動画などページ上に表示される要素のことを指します。 ページに訪れたユーザーが実際に消費したり利用したりする内容です。 レストランの料理でいうなら、インテリアやテーブル、お皿などを除いた食べる部分、「料理そのもの」に相当します。 CMS = コンテンツ・マネジメント・システムというのはまさにこのコンテンツを管理するためのシステムです。 ちなみに、ヘッダーやサイド、フッターの部分を除いたページの中心部分のことを単に「コンテンツ」と呼んだり「メインコンテンツ」と呼んだりします。
コンテンツタイプ
コンテンツタイプとは、テキストや画像などのデータの形式や表示方法が共通なコンテンツのグループのことを指します。 たとえば、会社のホームページに「お知らせ」「ブログ」「 IR ニュース」という 3 つの更新コンテンツがある場合、 「お知らせ」「ブログ」「 IR ニュース」などのグループそれぞれが 1 つの「コンテンツタイプ」ということができます。 ブログとひとくくりにした中でも「スタッフの日常ブログ」「健康コラム」など趣の異なるコンテンツが複数あって、表示の形式や場所が大きく異なる場合なんかにはそれらを別個のコンテンツタイプと考えるのがよいでしょう。
タグ / ラベル / タクソノミー
タグ / ラベルとは、主にコンテンツに付加する分類用の情報のことを指します。 タグもラベルもほぼほぼ同じような意味合いで使われます。 タグにあたるものとしては Twitter や Google plus でタグをつけられる「ハッシュタグ」機能が有名ですね。 CMS 以外の文脈(たとえば HTML など)ではまた別の意味を持つこともありますが、 CMS の文脈でこれらのことばが使われる場合はおおよそこの意味と思って間違いないでしょう。 タクソノミー( taxonomy )とは、英語で「分類」を表すことばで、特定のタグのグループやタグの利用そのものを指すことばとして使われます。
ユーザー / アカウント
ユーザー / アカウントとは、 CMS サイトを利用する人またはそのデータのことを指します。 「ユーザー」の方が比較的広くてざっくりとした意味を持ち、「アカウント」の方がよりシステム寄りで具体的な概念を表すイメージです。 ユーザーは「ターゲットユーザー」「ログインユーザー」など、利用する「人」を表すこともあれば、人を表す「データ」を表すこともあります。 アカウントは、「アカウント削除」「アカウントデータ」など CMS のシステム内に登録された「人を表すデータのまとまり」を表すことが多いようです。
権限 / パーミッション
権限 / パーミッションとは、ユーザーにできることや特定の操作を実行できるシステム上の権利のことを指します。 権限とパーミッションのちがいは、単に日本語か英語かというところです。 たとえば、「スタッフ」というユーザーと「マネージャー」というユーザが CMS 上に存在する場合に、「ブログの投稿はスタッフでもマネージャーでもできるけれど、お知らせの投稿はマネージャーにしかできない」という状況があったとします。 この状況を「権限」ということばを使って言い表すと、「スタッフにはブログを投稿する権限が与えられていて、マネージャーにはブログとお知らせの投稿ができる権限が与えられている」となります。 特定の操作を「マネージャーにはできるようにして、スタッフにはできないようにしてほしい」といった要望を伝えるときに権限ということばを使えば、「この操作の権現をマネージャーには与えて、スタッフからは外してほしい」とより明確に伝えることができます。
ユーザータイプ / 権限グループ
ユーザータイプ / 権限グループとは、ホームページ上の権限や制約が共通のユーザーのグループのことを指します。 有料サービスのホームページであれば、たとえば「無料アカウント」「有料アカウント」「プレミアムアカウント」という風に複数のタイプのユーザーグループを作ることがあるかと思います。 こういうグループを「ユーザータイプ」や「権限グループ」と呼びます。 CMS のシステムの観点から見れば、ユーザーのグループは「共通の権限を持ったグループ」としてまとめられるので、どういうタイプのユーザーを用意してほしいかといった要望を伝えるときにこのことばを使うと便利です。
ワークフロー
ワークフローとは、コンテンツの投稿や削除など運用における一連の作業の流れのことを指します。 たとえば、「スタッフがお知らせを非公開の形で作成し、それをマネージャーがチェックして承認あるいは差し戻しをし、 OK になった場合にはじめてページ上に掲載する」といった流れでお知らせを投稿したりするケースがあるかと思います。 この運用の一連の流れと、それをサポートする CMS の機能が「ワークフロー」です。 コンテンツを管理画面からただ投稿できるというだけでなく、このようなワークフロー機能を低コストで提供してくれるところが Drupal などの CMS パッケージの魅力です。
ホーム / トップページ / フロントページ
ホーム / トップページ / フロントページとは、ホームページの根の部分に位置する、多くの場合に「最初の 1 枚」となるページのことを指します。 たとえばスタジオ・ウミのホームページの場合は「 / 」でアクセスできるページがホーム / トップページにあたります。 ちなみに、「ホームページ」とは本来ならこの「ホーム」のページひとつだけを指すことばでしたが今日ではウェブサイト全体を指す場合にも「ホームページ」と呼ぶのが一般的になっていますので、それと区別する意味では「トップページ」「フロントページ」ということばの方がより区別が明確かと思います。
テーマ
テーマとは、CMS のコンテンツとは独立に入れ替えができるホームページのデザインのことを指します。 HTML と CSS がページのデータと表示方法を分けて表すものであるように、 CMS の「コンテンツ「と「テーマ」はホームページ全体のデータと表示方法をそれぞれ別個に扱うものです。 制作会社の立場で CMS を使う大きなメリットのひとつが、コンテンツとテーマをスッパリと切り分けられることでもあります。
プラグイン / パッケージ / エクステンション / モジュール
プラグイン / パッケージ / エクステンション / モジュールとは、個別に追加や切り離しが可能な機能の集まりのことを指します。 プラグイン、エクステンション、モジュールなど、 CMS ツールによってその呼び名はさまざまですが、その意味するところは大体同じです。 具体的なものとしては、「コンテンツの URL を自動で生成するモジュール」「管理者用の管理画面を提供するモジュール」「 Google Analytics をかんたんに利用できるよにするモジュール」などがあり、そのサイズやタイプはさまざまです。 ちなみにスタジオ・ウミ愛用の CMS 「 Drupal 」の場合は「モジュール」と呼びます。
カスタム
カスタムとは、ホームページ独自のオリジナルのものに対してよく付けられる形容詞です。 一般的に多いのは「カスタムコード」「カスタムプラグイン」「カスタムモジュール」といった表現です。 CMS のデフォルトの機能や広く一般に配布されているプラグインやモジュールではカバーできない独自の機能を追加するために、制作会社が独自に作成する部分のことを表すために使うことばです。
管理画面
管理画面とは、コンテンツやテーマなどを管理するための管理者やスタッフ向けのページのことを指します。 実際のホームページに訪れるユーザーが見るページとは別に作られた管理用のページです。 ホームページ制作会社に制作を依頼するときには「管理画面なのでこちらはデフォルトのテーマを使用します」といった表現を聞く機会があるかと思います。
PHP / Perl / Ruby / Java
PHP / Perl / Ruby / Java とは、プログラミング言語の名前です。 CMS で一般に最もよく使われているのは PHP と Perl ですが、 Ruby や Java などもウェブではよく使われる言語なので制作会社とのやりとりの中で話にあがることがあるかもしれません。 PHP は「ピー・エイチ・ピー」、 Perl は「パール」、 Ruby は「ルビー」、 Java は「ジャバ」と呼ぶ呼び方が一般的です。 ちなみに、スタジオ・ウミ愛用の CMS 「 Drupal 」や世界的にシェアの高い「 WordPress 」は PHP を使っています。
MySQL / PostgreSQL
MySQL / PostgreSQL とは、データベースの種類です。 メジャーな CMS で定番的に使われるのはこちらの 2 つです。 日本では MySQL は「マイ・エス・キュー・エル」、 PostgreSQL は「ポストグレ・エス・キュー・エル」と呼ばれることが一般的です。 多くのホスティングサービスが対応しているので、ホスティング会社を利用する分にはあまり気にする必要はありませんが、自社のサーバや大学内のサーバを使う必要があるといった場合には導入予定の CMS に対応した環境が揃っているかどうかをチェックする必要があります。
Apache / Nginx
Apache / Nginx とは、ウェブサーバの種類です。 こちらもメジャーな CMS で定番的に使われる 2 つです。 Apache は「アパッチ」、 Nginx は「エンジン・エックス」と呼ばれることが一般的です。 こちらもデータベースと同じく、多くのホスティングサービスが対応しているため発注者側で気にする必要があることはあまりないかとは思いますが、利用できるサーバに制限がある場合なんかには対応状況を押さえておかなくてはなりません。
おわりに
以上です。 いかがだったでしょうか?
今回は「 CMS 構築を行う会社とコミュニケーションする上で知っておきたい CMS 用語集」ということで、 CMS 周辺の概念をざっくりとご紹介してみました。
これらの用語、概念を知ったからといってホームページ制作料金が安くなるとか運用が楽になるといったことはありません。 しかし、知らないままの状態と比べるとホームページ制作会社とのコミュニケーションはぐっとスムーズになりますし、その分、重要なお話やディスカッションに割ける時間が長くなるかと思います。 今回ご紹介した用語の中で「これ知らなかったぞ」というものなどがありましたらぜひ改めて調べてみてください。
関連リンクには CMS の中でも特に Drupal に絞り込んだ用語集記事などもありますので、興味のある方はそちらもご覧になってみてください。
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