Drupalに向いているサイト

私たちスタジオ・ウミはDrupal専門の開発会社ですので、Drupalの魅力とその有用性について、まだご存知でない方にはぜひお伝えしていきたいと思っていますが、すべてのWebサイトやWebシステムにDrupalを使うべきだとは考えていません。というのも、拡張性と柔軟性が非常に高いDrupalは多種多様なWebサイト構築を可能にしますが、必ずしも「可能=最適」というわけではないからです。極端にいえば、1ページだけで完結するランディングページでもDrupalで構築することは可能ですが、ランディングページにDrupalを使うメリットというのはあまり感じられないでしょう。このページでは、より効果的にDrupalをお使いいただき、1人でも多くの方にDrupalの有益性を実感いただけるように、特にDrupalの力を発揮することができるDrupalに適したWebサイトのタイプについてご紹介していきます。

WebサイトやWebシステムを構築するにあたって、WebアプリケーションフレームワークやCMSの導入を検討されている方、その候補としてDrupalを検討されている方はぜひご参考にしていただければ幸いです。

Drupalに適したWebサイトとは?

Drupalといえば、国連やNASA等の海外での大規模な導入事例が思い浮かぶ方も少なくないと思いますが、Drupalは大規模サイトに限らず世界100万サイト以上で利用されているCMSで、主に中規模以上のWebサイトに適したCMSとして定評があります。具体的には以下のケースのいずれかにひとつでも当てはまる場合に、また該当する項目が多ければ多いほど、Drupalで構築するメリットが得られやすいといえるでしょう。

  • 中規模〜大規模のWebサイト
  • 頻繁に情報を更新するWebサイト
  • コンテンツのボリュームや種類が多いWebサイト
  • 3階層以上の構造を持つWebサイト
  • 複数の権限設定が必要なWebサイト
  • 多言語対応が必要なWebサイト
  • 外部データとの連携が必要なWebサイト
  • 複数機能を組み合わせた多機能型Webサイト
  • オリジナル機能の開発やカスタマイズが必要なWebサイト
  • 将来的な機能拡張や継続的改善を行いたいWebサイト

Drupalに適したサイトタイプの例

Drupalでの構築に適しているWebサイトやWebシステムのタイプについて、具体的なWebサイトのタイプの例を挙げながらご紹介していきます。

1. 中規模以上のコーポレートサイト・団体サイト

中規模以上のコーポレートサイト・団体サイトにDrupalをおすすめする理由

CMSの定番機能を無料で利用可能

一般的なWebサイトでよく利用されるコンテンツ管理機能、新着情報、お問い合わせフォーム、ユーザー管理といったいわゆるCMSの定番ともいえる機能はDrupalに標準で備えられています。さらに拡張機能も18,000以上も用意されており、それらを無料で利用することができます。例えば、SNSでの拡散を促す「ソーシャル連携」、「営業日カレンダー」や「予約申込機能」などの便利機能、「会員向けマイページ」や「絞り込み検索」といった発展的な機能など、ここには挙げきれないほどの無数の機能をDrupalのコントリビュートモジュールとカスタムモジュールの組み合わせで比較的低コストかつスピーディーに提供することができます。また、オープンソースならではの特徴として、世界中の開発者により日々進化・改善がなされていることにより、機能ひとつひとつの質が非常に高く洗練されていることも嬉しいポイントです。詳しくは、こちらの「豊富で高品質な機能」ページもご参照ください。

多岐に渡るコンテンツも効率的に管理できる

Drupalは特にコンテンツ管理機能に定評があります。コンテンツの種類に応じた管理画面を使いやすい形でご用意することができ、作成したコンテンツ同士をWebサイト内で紐付けたり再利用するなど効率的なコンテンツ利用をサポートしてくれます。様々なCMSを用いてWebサイト構築サービスを提供するThe Bivings Groupの公式ブログでも、3階層以上の構造を持つWebサイトではDrupalを利用するべきだと結論付けられていますが、コンテンツの種類が多岐に渡ることの多い中規模以上のWebサイトでは、特にDrupalが力を発揮してくれます。詳しくは、こちらの「Drupalの柔軟なコンテンツ管理」ページもご参照ください。

費用対効果の高い改善をサポート

Drupalは継続的改善を重ねたいWebサイトにはうってつけのCMSです。もともとカスタマイズを前提として設計されているため、拡張性が非常に高く、他のCMSに比べてメンテナンスにかかる費用を抑えやすいのがDrupalの強みです。継続的に機能やUIなどの改善を行いたいとお考えの場合はDrupalの導入をおすすめします。詳しくは、こちらの「費用対効果の高い改善をサポート」ページもご参照ください。

権限管理やワークフローも柔軟に対応

閲覧制限が必要な会員専用のコンテンツを設置したい場合や、コンテンツを投稿する際に承認者の承認を得てから公開するワークフロー機能を設けたい等、ユーザーに応じた権限の設定を行いたい場合にもDrupalは力を発揮します。所属グループに応じて権限を割り振ったり、1人のユーザーに対して複数の権限を持たせるなど柔軟な権限設定を比較的簡単に行えるように設計されています。詳しくは、こちらの「柔軟な権限管理」ページもご参照ください。

中規模以上のコーポレートサイト・団体サイトの具体例

前述のようなDrupalの特長を特に活用しやすいWebサイトの具体例としては、例えば以下のようなWebサイトがあります。

  • 企業サイト
  • 店舗・施設サイト
  • 医療機関・病院サイト
  • 教育機関・大学サイト
  • 公共機関・自治体サイト

上記の中でも、小規模サイトやコンテンツ更新の必要がないWebサイトの場合には、静的HTMLやあるいはブログベースのCMSやカスタムCMSを利用いただく方が費用対効果が高い場合が多いかもしれません。

一般的にWebサイトの規模が大きくなるほど管理すべきコンテンツのボリュームや種類が増え、機能要件もより複雑になり、運用フローも複雑になりやすい傾向があり、そうしたWebサイトに求められる要件を満たすことができるのがDrupalです。使いやすく効率的なコンテンツ管理、細やかな権限管理やワークフローの調整、多言語対応など、中〜大規模サイトに求められる条件がDrupalの得意分野にフィットしているため、中〜大規模サイトのデファクトスタンダードCMSとして世界中で高い支持を得ているのです。

2. 多言語サイト

「自社コンテンツを多言語でグローバルに発信したい!」という場合にもDrupalはおすすめです。Drupalは標準で多言語化をサポートしており、他のCMSに比べデータ構造がよく整備されています。そのため、メンテナンス性の高い多言語化サイトを構築することができるのです。これは、多言語化を必要とする大学や政府機関、グローバル企業などでDrupalがこぞって採用される理由のひとつです。

また、多言語化したWebサイトでは、SEOの観点からURLの運用ポリシーが問題になることが多々ありますが、Drupalはサイトの形態や目的に応じて、同じURLを使用したり、言語ごとにパスやドメインを切り分けるといった対応も可能です。

さらに、Drupalは標準で100以上の言語をサポートしています。公式に翻訳サーバーが用意されており、日々翻訳データが更新されています。翻訳データは簡単に利用することができるので、翻訳の手間があまりかからないのも大きなメリットです。詳しくは、こちらの「パワフルな多言語機能」ページもご参照ください。

3. 会員サイト

「会員制のWebサービスを展開したい」「Webサイト・Webシステムに権限に応じて閲覧制限を設けたい」といった場合にも、ぜひDrupalを選択肢のひとつとしてご検討ください。Drupalは、ユーザーが自分自身でユーザー登録を行うことのできる機能が基本機能として最初から備わっています。さらに細かな設定にも対応できる柔軟性の高い権限管理を特長としています。

ユーザー管理機能に加え、外部システムとの連携やオリジナルのWebサービス機能を追加することも比較的容易に行うことができるので、会員向けのWebサービスやコミュニティのための会員制サイトなど、活躍の幅は様々です。

4. カタログサイト・製品情報管理システム

「Webシステム上で製品情報を管理したい」「製品管理システムをカタログサイトとして利活用したい」といったニーズにもDrupalは大きな力を発揮します。Web上で複数の製品情報(あるいはサービス情報等)を管理・更新することはDrupalのもっとも得意な分野のひとつ。既存の製品管理システムとWebサイトをDrupalという1つのシステムに統合し、製品情報を一元管理することで運用にかかる手間とコストを大きく削減するといったことも可能です。

Drupalは基本機能のひとつとして、いろいろなデータの型(コンテンツタイプ)を自由に作成することができるので、各カテゴリに合わせた入力項目の設置も非常に柔軟。入力データを適切に分類・管理することで、情報整理を容易にしてくれるだけでなく、整理した情報を一覧表示したり、検索・フィルタリングすることもできます。しかも管理画面上でデータ構造を変更することができ、入力項目が増減しても柔軟に対応できるため、メンテナンス性の高いWebサイト・Webシステムを構築することができます。

他のCMSで同様の機能を実装するとなるとプログラミングが必要となり工数が膨らみがちな部分も、Drupalであれば管理画面からの操作で解決する場合も多く、開発工数の削減にも貢献します。

5. CGMサイト

CGMサイトとは”Consumer Generated Media”の略称で、いわゆる「SNS」や「口コミサイト」等のように「一般ユーザーがコンテンツを投稿することにより形成されるメディア」のことを指します。DrupalではこういったCGMサイトの構築に最適な多くの特徴を備えています。

SNSサイト

子供から大人まで幅広い世代が活用し、今やビジネスの世界でも大きな存在感を示しているSNS。Twitter, Facebook, Instagram などが特に有名ですが、こういったユーザーが自らユーザー登録を行いサービスを利用する「SNSサイト」もDrupalの得意分野です。マルチユーザーのログイン機能、ユーザごとに異なるマイページ機能、使える機能が異なる複数のユーザータイプの作成、コンテンツ(掲示板)投稿機能、コメント機能、いいね機能など、SNSサイトに必要な機能はひととおりDrupalの基本機能とメジャーコントリビュートモジュール(拡張機能)で揃えることができます。各機能の設定にはそれなりの知識が必要とはなりますが、ごくシンプルなSNSサイトであれば、コーディング一切なしでサイトを立ち上げることもできるほどです。

新しいSNSサービスの立ち上げや、あるいは社内用SNSサイト等、独自のSNSサービス構築を検討されている方は、Drupalを候補の1つとして検討してみてください。

口コミサイト

口コミサイトも機能要件としてはSNSサイトと似た機能が多く、Drupalの得意分野といえます。口コミ投稿やいいねボタン、マイページ機能などはもちろん、ユーザーが投稿した口コミ商品をランキング形式で表示する機能、商品の比較機能といった口コミサイトならでは機能についてもコンテンツ管理が得意なDrupalが強みを発揮してくれます。実際に弊社のお客様でも、口コミサイトを構築するにあたって採用するCMSを検討した結果、Drupalが適していることを知り、弊社に構築をご依頼いただいた事例もあります。特に、新規事業として口コミサイトのサービス提供を開始されるお客様にとっては、最初から予算をかけて希望する機能をすべて盛り込んでしまうよりも、運用しながら継続的に改善を重ねていく方がリスクを最小限に抑えることができ安心です。そのため、他のCMSに比べて改修コストを抑えやすいというDrupalの特長が、CMS選定の際の大きなポイントとなっているようです。

6. メディアサイト

コンテンツ配信を主な目的としたメディアサイトの構築にもDrupalはおすすめです。メディアサイトとは、例えばニュースサイトやイベント情報サイト、求人情報サイトなど、記事の投稿者と承認者が複数存在するようなサイトです。

大量のコンテンツを扱うメディアサイトでは、運用フローの効率化が重要ですが、Drupalの標準機能とコントリビュートモジュール(拡張機能)を使えば承認や差し戻しなどの管理プロセスもWeb上で快適かつ効率的に行うことができます。また、コンテンツの分類や整理、関連付け等に優れたDrupalのコンテンツ管理機能を利用することで、記事のカテゴリ分けやタグ付けはもちろん、現在閲覧中の記事と関連する記事の表示や、人気ランキングの表示、絞り込み検索なども費用対効果の高い形で実現することができます。

7. 社内グループウェア

外部に公開するWebサイトではなく企業内で利用するためのWebサイト、いわゆるグループウェアの構築にもDrupalは選ばれています。Drupalの豊富なコントリビュートモジュール(拡張機能)と高い拡張性を使えば、例えば、日報、営業報告、顧客情報、製品情報、採用情報、各種マニュアル・ガイドラインの管理など、社内に溢れる多種多様な情報やドキュメントをWeb上で一括管理することで業務改善に貢献します。

特に権限を細かく設定できるのがDrupalの大きな強み。管理者のみ閲覧可、特定部署のみ閲覧可、というように機密レベルに応じた設定も柔軟に対応できます。また、1人のユーザーに複数の役割を持たせるなど、他のCMSではカスタマイズが必要な設定もDrupalでは標準で対応できる他、承認ワークフローの設定なども柔軟に対応可能。市販のCRMなどでは対応が難しい外部データとの連携も得意としているので、お客様の事業内容や社内のルールに合わせて、業務効率化に役立つオリジナルのWebシステムを作り上げることが可能です。

スタジオ・ウミでも実際に自社開発したDrupalベースのグループウェアを用いて、勤怠管理や日報管理、業務管理などを行っており、チームになくてはならないWebシステムとなっています。

無限大の可能性を秘めたDrupal

具体的な例をまじえながら、Drupalに適したWebサイトについてご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか。ずば抜けた拡張性が特長のDrupalですので、上記で挙げた例の他にも、アイデア次第で様々なWebサイト・Webシステムの構築が可能です。特に、特化型CMSでは実現が難しいといわれる複数機能の組み合わせを費用対効果の高い形で実現できるところがDrupalの大きな魅力。

例えば、様々な機能を組み合わせた以下のようなWebサイトの構築にも適しています。

  • 企業サイト+ニュース配信+会員管理
  • ブランドサイト+製品管理システム+カタログサイト
  • ECサイト+口コミサイト
  • 多言語サイト+社内グループウェア+eラーニング

これまで別々に運用していたWebサイトやWebシステムを1つのプラットフォームに統合し、一元管理することによりコスト削減と業務効率化が期待できます。このパワフルで創造性に富んだDrupalというプラットフォームをどのように活かすかは皆様の想像力次第。「こんなことできるかな?」と思ったら、ぜひお気軽にご相談ください。