こんにちは。先日Drupalから重大な脆弱性に関するセキュリティ勧告が発表されましたね。
日本時間の3月29日早朝にアップデート版がリリースされましたが、
弊社でも朝からアップデート作業を行いました。
まだ対応されていないという方は、お早めにアップデートされることをお勧めいたします。
詳細はこちらからご確認ください。
セキュリティリスクレベルについて知っていますか
今回のようなセキュリティに関する発表がなされた際、以下のようなセキュリティ勧告を見ることになるかと思います。
このページに記載されたSecurity riskの値(上の画像でいうとHighly critical)をみて、どの程度危ないのかどうか見極めると思いますが、
このSecurity riskはどのようにして決められているかご存知でしょうか?
そしてその横にある、21/25やAC:None/A:None...といったものが何を意味するかご存知でしょうか?
今回はDrupal公式の情報をもとにご紹介いたします。
セキュリティリスクレベルについて
現在のセキュリティ勧告リスクレベルシステムはNIST Common Misuse Scoring System (NISTIR 7864)に基づいています。それぞれの脆弱性はこのシステムを使用して点数化され、0から25の数字が割り当てられます。
総合の点数に応じて、理解しやすいような文言が与えられます。
- 0 ~ 4点: Not Critical
- 5 ~ 9点: Less Critical
- 10 ~ 14点: Moderately Critical
- 15 ~ 19点: Critical
- 20 ~ 25点: Highly Critical
リスクレベルはRisk Calculatorによって決定されます。Risk Calculatorには6つの評価基準があり、それぞれ3種類の異なる値を選択肢として持っています。
これは簡潔なフォーマットにコード化され、全てのセキュリティ勧告のSecurity Riskフィールドに含まれます。
以下の表はそれぞれの分野についての詳細説明と点数をまとめたものです。
コード | 評価基準 | 説明 |
---|---|---|
AC |
Access complexity アクセスの複雑さ |
攻撃者にとって脆弱性の利用がどの程度困難か
|
A |
Authentication 権限 |
悪用が成功するために必要な特権レベルは何か
|
CI |
Confidentiality impact 機密性の影響 |
脆弱性によって非公開のデータにアクセス可能か
|
II |
Integrity impact 完全性の影響 |
この悪用により、システムデータやシステムによって処理されるデータが侵害される可能性があるか
|
E |
Exploit (Zero-day impact) 悪用(ゼロデイ攻撃) |
既知の悪用が存在するか
|
TD | Target distribution |
どの程度のユーザーが影響を受けるか
|
情報を活用しましょう
Drupalセキュリティチームの方が書かれた記事に今回ご紹介した情報の活用例が記載されていましたので翻訳しました。
https://www.mydropwizard.com/blog/understanding-drupal-security-advisories-risk-calculator
例えばあなたのサイトは機密データを取り扱っていますか、それとも商品カタログのような公開データのみのサイトですか。
前者の場合は評価基準の中でも特にCIの値に気を配る必要がありますが、後者のサイトにとってはCI:Someは緊急性は高くないと言えるでしょう。(その場合でも、もしメールアドレスやパスワードを別のサイトで使用しているならCI:Allには気をつけなければいけません)
別の例をあげましょう。あなたのサイトには信頼できないユーザーもログインできますか、それともログインするのはスタッフだけで他は全員匿名ユーザーですか。
後者であればA:UserやA:Adminの脆弱性について過度に心配する必要はないでしょう(匿名ユーザーに付与すべきでない権限を付与したり、ユーザーアカウントに不適切なパスワードを使用したりしていない限りですが。。)
サイトの特徴とリスクレベルについての情報を照らし合わせることで、脆弱性が自分のサイトにとってどれほどの脅威なのかを判断することができます。
その上で適切な行動が取れるといいですね。
ちなみに冒頭でお話しした先月のセキュリティ勧告では、
AC:None/A:None/CI:All/II:All/E:Theoretical/TD:Default
となっていました。
E:Theoreticalなので、実際に攻撃されたり方法が公開されたりしているわけではないですが、その他の評価基準においてはかなり深刻であることがわかりますね。
というわけで、まだアップデートがお済みでないかたはお早めに。
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